温度によって硬さが変わるワイヤーがあると聞きました。それはどのようなものですか?またそれを使うとどういう利点があるのですか?
それは、カッパーナイタイワイヤーというNASAの技術を応用した形状記憶合金です。詳しく説明するときりがないのですが、ニッケルとチタンと銅からなる合金で、温度によって金属の結合様式が変わるために、硬さが変わります。(オーステナイトとマルテンサイトという2つの相を持ちます)
 通常のお口の中の温度では歯の移動に適切な硬さをもっています。(1)氷水でうがいをして温度を下げると柔らかくなるので、装置をつけたあとすぐに感じることもある軽い痛みを和らげることができます。また、装置に慣れ痛みを感じなくなった時には、(2)ぬるま湯でうがいをして頂くたびに歯の移動に適切な硬さが戻ります。また、温度だけでなくワイヤーのたわみの量によっても硬さが変わります。 治療初期で歯のでこぼこがきつくワイヤーが大きくたわむ時には、柔らかくなりゆっくりと歯を動かし始め、治療が進みでこぼこが少なくなるに従ってワイヤーが硬くなり細部にわたる調整が自然に可能となります。つまり、治療初期の痛みを自分でコントロールできるとともに、これまでより頻繁に来院してもらうことなくスムースに歯が動いて早く治るというわけです。
やや高価なものですが、宇宙時代にふさわしいワイヤーで、患者さんにとっては大変都合の良い“優れもの”といえるでしょう。